今回は、久しぶりに「YUKIRINの美容旅」企画。普段の化粧品や香水に関する考察の記事とは違い、旅日記のように気楽に楽しんでくださいね♪
私が訪れたのは、首都圏より約2時間、鬼怒川温泉駅から車で5分ほどの場所に在る、星野リゾートの温泉旅館「界 鬼怒川」。まずは新宿から電車で鬼怒川温泉駅へ。2時間ちょっとで到着します。
鬼怒川温泉駅からは、駅前のタクシーを拾い、5分で「界 鬼怒川」に到着。とてもシックな門構えです。
鬼怒川渓流に面した小高い丘の上に位置するため、門を入ったらそのままスロープカー(自動)に乗って、エントランスホールまで山の斜面を登っていきます。このようなスロープがある施設、珍しいですよね。荷物を持って登るのは大変なため、とてもありがたい工夫だと感じました。
エントランスホールをはじめ館内の至るところに、栃木県の伝統工芸品である、益子焼や黒羽藍染、大谷石が使われているのは、民藝に縁のある土地ならでは。
エントランスホール、食事処、露天風呂、客室が中庭を囲むように設計されており、季節によって桜や新緑、紅葉、雪景色などの風景を望むことができます。
日本には3,000か所以上の温泉があり、江戸時代から「湯治」というお風呂健康治療法が、民間で支持されてきた文化があります。「傷は川治、火傷は滝(鬼怒川)」と謳われたほど、鬼怒川温泉は名湯の1つであり、昔は位の高い方しか入湯できなかったほどだそう。こちらが桜並木を望む、「界 鬼怒川」の大浴場。(桜や紅葉の季節に再訪したい!と思っちゃいました)
アルカリ性単純温泉は体に優しく、美肌の湯とも言われています。また、長湯しても疲れにくく、湯あたりしにくいのも特徴。人間の肌は酸性のため、アルカリ性のお湯は肌なじみがしやすく、まろやかに感じられ、実際に滞在中何度かお風呂に入っては保湿を繰り返していたら、肌がすべすべになっていく体感があり驚きました。アルカリ性単純温泉は、筋肉や関節の慢性的な痛みや、自律神経不安定症、冷え性、胃腸機能の低下、疲労回復にも効果のあるとされており、私の疲れている箇所や体質にもマッチしたようで、繰り返し入っていると身体がどんどん楽になっていく感じがしたんですよね。「湯治」が初めて体感できたというか、そんな印象を受けました。
これ密かに嬉しいポイントとして2点あるんですけども、まず大浴場内の体を洗う洗い場のシャワーが、数十秒でお湯が自動的に止まらない、ストレスフリーに使えるタイプなんです。これ温泉好きな方なら必ず経験があると思うのですが、数十秒でお湯が止まってまたボタンを教えてお湯を出してとやっていると、もちろん節水にはなると思うのですが、冬場寒かったり、シャンプーするのに何度もボタンを押すことになる煩雑さがありますよね。そういうストレスが1つでも無いというのは、大変ありがたいなと。また、お風呂を上がって身支度をする場でのドライヤーについても、素早く乾くダイソンのドライヤーが設置されていました。私は髪が長いので、結構大浴場の後のドライヤーって、風力弱くて乾くまでに時間がかかって、湯冷めしてしまうこともあるんです。ここで、ダイソンドライヤーを取り入れてくださっているのは、本当に宿泊者へ配慮して考えてくださっているんだなぁと感じました。私が感じた、かゆいところに手が届く配慮ポイントでした笑
界の全22施設では、2月23日から3月31日までの期間限定で、映画『湯道』の世界観を追体験できる宿泊プランが登場。私は先日、ひと足先に映画『湯道』を試写で拝見させていただきました。映画『湯道』は、ご当地キャラクター「くまモン」の生みの親であり、映画「おくりびと」の脚本も手掛けた小山薫堂氏が企画・脚本を務めた、”お風呂”をテーマにしたエンターテインメント映画。現代の銭湯が抱える後継者問題や、地元の人から愛される姿、そしてお風呂に入ることはただ体を清潔にするためでなく、茶道や華道、香道のように「湯道」として流儀を極めて楽しむ価値のある体験であることを、豪華な俳優陣と共に表現しているストーリーとなっています。2月23日より公開ということで、公開日に合わせ、星野リゾートとしても初となる映画コラボが実現しました。
こちらの湯上がり処では、ドリンクやアイスキャンディーを自由にいただきながら涼むことができ、たっぷりお湯を楽しんだ後も、のんびりと過ごすことができる憩いの場です。黒羽藍染の美しいうちわやファブリックも素敵ですよね。
界は開業以来、すべての界 施設にて、「うるはし現代湯治」として温泉の効果を高める提案をこれまで行ってきました。お湯、そして入浴に向かい合い「日本の入浴文化を大切にしたい」という想いが、映画『湯道』と共鳴し合っているのですね。
映画『湯道』に登場するシーンをイメージした、ビンのコーヒー牛乳も無料でいただくことができます。
(15:00~17:30までのご提供)
お風呂上りのコーヒー牛乳、最高でした!
客室へ繋がる回廊にも、益子焼と黒羽合染めを使った灯りが設置されており、夕暮れ時以降はまた違った美しいニュアンスを醸し出すのだそう。
客室は48室すべてが「とちぎ民藝の間」として、地域の伝統が詰まっています。
益子焼の陶板アートや、黒羽藍染の雅なベッドライナーやクッションが、和モダンな雰囲気。
重厚な色合いとぼってりした肌触りが特徴の、素朴で飽きの来ない温かな雰囲気の益子焼は、ティーカップもかわいい!
トイレットペーパーを包むカバーにも黒羽藍染が贅沢に使われており、部屋の細部まで美しく装飾されています。
古くから栃木で建築素材として使われてきた大谷石を使ったテラスは、温かみのある独特な質感で、客室の露天風呂からお湯が流れていっても、水はけが良いように感じました。
映画『湯道』の世界を追体験できるプランには、映画に登場する「湯道」家元が説く湯の作法をまとめたガイドブックや、家元が頭に乗せて入浴して赤いてぬぐい(赤が最高ランク)や、入浴前の水分補給「潤し水」をいただく際に使われていた「二之湯家」(映画内に登場する初代二之湯薫東を開祖とする「湯道」家元の家系)の家紋入り「漆の水呑み」がプレゼントとなります。また、専用湯桶の貸出しや、館内のトラベルライブラリーにも置かれる「湯道」の書籍もお部屋で読むことができますよ。
客室の露天風呂は、ゆったりと浸かれるサイズ感で、24時間いつでも入浴することができる温泉。これまで色々な施設で客室露天風呂は体験してきましたが、YUKIRIN的に界 鬼怒川の客室露天風呂が過去イチでお気に入りです!というのも、どうしても露天風呂は、葉っぱや虫などが入りやすいのですが、その点が入りにくいように上手にカバーされていて、さらにゆったり浸かれるサイズ感、外から見えないけれど外に居る雰囲気を楽しめる絶妙な感覚がベストでした。何と滞在中、客室露天風呂に私は3回も入ったほどです(笑)
洗面台、トイレ、シャワールームから客室の露天風呂まで、見通し良くつながっています。
17時過ぎると辺りも暗くなり、ライトアップも美しく映えていました。
温泉と言えば、お食事も楽しみの一つ!
目と舌で味わう季節の特別会席は、秋冬限定の「龍神鍋」をメインとする地域食材も生かしたコースとなっています。特に美味しいと感じたのは、煮物椀。南京のすり流しの中央に、干し海老や切り干し大根を使った大根餅の揚げ出しが鎮座し、その上に棒蟹と、柚子がふわっと香る花麩が乗り、温まりながら食感や香りも堪能できました。
目にも美しい宝楽盛りは、栃木県の伝統工芸品である鹿沼組子を取り入れた箱に、ずいきの土佐和えや、ずわい蟹の小袖寿司、なまこ酢などが収まり、さらにかんぱちや鮪、海老のお刺身や、土佐酢和えの酢の物も。少しずつ味覚の変化を楽しむことができます。
メインとなっている「伊勢海老と牛ロースの龍神鍋」は、龍王峡の龍神伝説にちなみに、荒ぶる龍神のダイナミックさを表現した伊勢海老のお鍋。こちらがお鍋の具。
焼き石を鍋に入れ、伊勢海老や栃木名産のかんぴょう、巻き湯波や野菜を一緒にぐつぐつ煮込みます。通常は牛ロースも含まれていますが、私がお肉が食べられないため、この日は特別に帆立へ変更いただきました。
鰤の幽庵焼きに、三つ葉や錦糸卵、柚子が乗った土鍋ご飯は、目にも鮮やか。おこげも香ばしく、ついついおかわりしてしまう美味しさです。
夜は、界の施設の名物の1つでもある「ご当地楽」へ参加。
その土地の伝統的な音楽や踊り、工芸品などに、触れながら学ぶことができる時間となっており、界 鬼怒川では「益子焼ナイト」が開催されています。益子焼マイスターが益子焼の特徴や歴史、文化、器の楽しみ方を紹介してくださるのですが、気になったお皿を一人3つまで選び、その中のどれが益子焼か、また益子焼でないお皿はどこのものなのかなどを、皆で考えるクイズもあり、盛り上がることができました。
最後は、益子焼で作られた打楽器と笛による演奏も拝聴し、益子焼の魅力を堪能。
朝は、7時に湯上り処へ向かい、現代湯治体操「木漏れ日体操」で体全体をほぐし、ゆるめてスッキリとスタート。
トラベルライブラリーでお茶をいただきながら、朝の時間をのんびりと楽しみました。
朝食はお食事処で、緑を眺めながら。益子焼と鹿沼組子の器でいただく和のセットとなっています。柚子のご当地ジュースや、黒むつの西京焼き、温泉卵、納豆、栃木の郷土料理である”しもつかれ”や、栃木名産の巻き湯波をつかったあんかけなど、時間をかけてゆっくりといただきました。
チェックアウトまで少しお時間があったので、私は再度客室の露天風呂に入り、温泉を堪能し尽くしました。お風呂上りには、藍染を使った葉書づくりなどを楽しみ、あっという間の1泊2日が終了。
お土産が購入できるショップは、黒羽藍染のグッズや、益子焼の器なども販売。
実は、私が宿泊したのは月曜~火曜でしたが、なんと9割ほどのお部屋が埋まっているほどの盛況ぶり。宿泊されていたお客様も世代が様々で、ジェネレーションを超えて楽しむことができる「界 鬼怒川」の魅力を体感できた旅でした。
折角の機会ですので、映画『湯道』を鑑賞いただき、界で追体験を楽しんでいただけたら、より楽しめること間違いなし。ぜひこの機会に「界 鬼怒川」を訪ねてみてはいかがでしょうか。
【界 鬼怒川】
(栃木県・鬼怒川温泉)所在地:栃木県日光市鬼怒川温泉滝308
電話:050-3134-8092(界 予約センター)
客室数:48室・チェックイン15時・チェックアウト12時
アクセス:【電車】鬼怒川温泉駅より車で約5分 / 【車】今市ICより約25分
料金:1泊31,000円~(2名1室利用時1名あたり、サービス料込・税込、夕朝食付)
公式サイト:https://hoshinoresorts.com/ja/hotels/kaikinugawa/
【映画『湯道』コラボレーション宿泊プラン】
宿泊期間:2023年2月23日~3月31日予約方法:専用サイトからWeb予約(組数限定)
対象施設:界 21施設
料金:32,000円~(2名1室利用時1名あたり、税・サービス料込)
含まれるもの:夕食、朝食、湯道具(ガイドブック、水呑み、手ぬぐい)、専用湯桶貸出し
※期間中、各施設の湯上がり処にて、湯上がり牛乳を無料提供
【執筆者】
美容・香水ジャーナリスト YUKIRIN日本で唯一の香水ジャーナリストとして、メディアで香りの情報を発信。またナチュラルオーガニック美容の専門家でもあり、コラム執筆や、記事監修を行う。これまで2,000種類以上の香水や、500ブランド以上の化粧品に触れ、新製品や国内市場の動向を網羅する他、ブランドコンサルティングとして活動中。
https://ja.wikipedia.org/wiki/YUKIRIN
★公式Instagram
毎月第一土曜日の22時からは、フレグランス専門インスタライブを配信中。
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★連載:WWD 香水ジャーナリスト連載
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★香りのディレクションに携わった、ナチュラルケアシリーズ『Moii』
https://www.lebel.co.jp/products/series/moii/
★YUKIRINがプロデュースする、ナチュラル&オーガニック美容プロジェクト
『GREEN BEAUTY SESSION』
https://www.instagram.com/greenbeautysession/
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