
ゲラン ルージュ ジェ #76 グレーシー
花びらリップ、と呼びたくなる口紅。
オンラインショップの商品説明には、花びらのように可憐な口元に仕上げるピンクローズ、と書かれております。まさにその通り。
いまや、わたしはこの口紅のスティックをくるくるとくりだすだけで、ぐぐぐっと腹から湧き上がるように、ときめきます。これが、ルージュの醍醐味かな、なぁんて感じております。
それを教えてくれたルージュ ジェよりベストコスメを選びました。
じつを言うと、今までじぶんのくちびるがあんまり好きではなく、だから関心もなく、素のくちびるの色が薄いのに手を出しやすいシアーなピンクのリップを選んで失敗してました。
関心がないから、根本的なことがわかっていなかったんですよね。わたしのくちびるだと色が透けても赤味がないので変な感じになってしまうんです。(じつはブリアンの#60でも挫折いたしました;)
で、結局シアーな赤リップで落ち着く。なんてことになっていたので、やっぱりピンクのリップは可愛い、と思わせてくれた#62 ジョージアにも感謝しているのですが、これはグレーシーに軍配を上げます。
なぜなら、何度かカウンターに足を運んでそのたびにルージュ ジェを見ていたんですが、BAさんに、これはいかがですかと出されるまで、こんないい色あったかな、と驚いたからです。
いざくちびるに塗ってみると、じぶんのくちびるが本当に花びらみたいに見えます。
ぷっくりひらいた花びら二枚。見た瞬間、ぐっときました。これはじぶんの色かも、と。
それくらい好きです。
廃盤ということもめずらしくないようなので、ストック欲しいな、と思うのですが、この一本だからこそ大切にしたい、という気持ちがはたらくので、がまんがまん。
写真は実際より赤く写っております。
でも不思議と、画面左側の男の子、エドガーのくちびると同じ色に見えるんですよね。
萩尾望都の『ポーの一族』。
赤いバラの咲く村、バンパネラの一族。
その末裔である不老不死の少年エドガーを軸に、くるくると物語はつながってゆく。
これはエドガーの孤独な旅物語でもあり、アランのメリーベルへの恋物語でもあり、エリゼリの悲恋、グレンスミスの日記という名のミステリー小説、エヴァンズの悲劇と復活、そうしてギムナジウムでの青春物語だったりもする。
記憶の物語、というのが、ふさわしいかもしれない。
記憶は、人であること、なぜ生きるのか、それがわからないこと、孤独であること、だれかにそばにいてほしいこと、恋すること、もろもろ。その記憶を呼び起こすから、読んでいるとざわざわと胸騒ぎがする。きつく閉めていた記憶の蓋を開けるような、胸騒ぎ。
「おいでよ……きみも おいでよ ひとりでは さびしすぎる……」
エドガーがアランに言うセリフ。
ひとりではさびしすぎる。こんな冬には、すんと沁みいる言葉です。
だからこそ、人は人に寄り添って生きていくのかな、なんて思います。
のうまさん
美々姫さん
のうまさん
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ブルームーンJさん