パウダータイプの日焼け止めのSPF表示について
2013/3/2 11:09
MMUではオンリーミネラル、エトヴォス、MIMC、トゥヴェール、ジェーンアイデール‥
ケミメーカーからもアリーやプライバシー、ドクターシーラボ等々枚挙にいとまがありません。
しかもその多くがSPF50クラスの高い紫外線カット効果を謳っています。
@コスメでの評価も結構良いみたいですので、私もいくつか検討してみたのですが‥
どうもクチコミを見ると「使い心地が良い」「薄付き」「落とすの簡単」などの好評価で、肝心の「日焼け止め効果がある」という評価があまり見当たらない?
ミネラルファンデにもSPF表示がされていますが、実際使う量なんてわずかだし‥
そもそもSPF50なんて高い効果が粉にあるのかどうか、やや疑問に感じましたので調べてみました。
§1 SPF値を計測する時に使うUVカット材の量
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日本化粧品工業連合会SPF測定法基準<2007年改定版>
http://www.epochal.co.jp/img/spf.pdf
より抜粋
6.3 塗布量
被験試料及び標準試料の塗布量は、皮膚の上に伸ばす前に2.00 mg/cm2 ±2.5 % となる
ように正確に秤量する
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2.00 mg=0.002g
これがSPFを測定するときに1センチ四方に塗っている量、
つまりは
表示どおりのSPF値を得るために1センチ四方に塗る必要がある量です。
(以下規定量と呼びます)
§2 実際に使っている量と規定量の差はいかほど?
さて人間の顔の面積ってどれくらいかというと?
顔にメジャーを当てて、凹凸に沿って縦横計測してみました。
顔に日焼け止めを塗る場合、夏の終わりに顔と首との色が全然違ってしまうと困るので、大抵の場合は顔だけでなく顎のあたりまで伸ばして塗ると考えました。そこで、
・縦方向 額の生え際から顎の裏側まで、
・横方向 左耳の付け根から右耳の付け根まで
それぞれ計測したところどちらも30センチほどありました。
人間の顔には凹凸がありますが、仮に直径30センチの円形とすると面積は706cm2です。
ということは、
2.00 mg/cm2 ×706cm2≒1.4g
一度のメイクで顔全体に使うべき規定量はなんと1.4gにもなります。
粉の1.4gって結構すごい量です。だいたい小匙3/4くらいかな?
これに対し、実際に我々はどれくらいの量を一度に使っているでしょうか?
某社から取り寄せた日焼け止めサンプル0.3gは2~3回分と表記されていました。
つまり顔全体に1度に載せる量は0.1g程度とメーカーが想定しているという事になります。
0.1gで顔全体をメイクした場合、規定量1.4gに対して1/14の量しか使っていないことになります。
※実際使ってみて、厚塗りにならないように普通にブラシでメイクする場合、一度にそのパウチの1/3も使いません。すごい厚塗りになります。実際は0.3gで5回分程度ですが、今回はあくまでメーカー推奨の量を付けたと考えていきます。
§3 日焼け止めの量とSPF値の関係について
出典:http://dermatology.blog97.fc2.com/blog-entry-206.html
※以下はこの中にあるWuff H.Cというデンマークの皮膚科医の先生の論文が正しいと仮定して計算します。
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これによると日焼け止めの効果は、塗る量が少なくなれば、効果はその比率を指数に取る累乗根となっています。
SPF50の製品の規定量に対し、実際塗る量が1/2になれば効果は50の2乗根、塗る量が1/4になれば効果は50の4乗根という風に。
(塗る量が1/4の場合、効果2の4乗分の1、すなわち1/16であると間違っているサイトも見ましたが、正しくは4乗根、たとえば50の4乗根なら4回同じ数字をかけると50になる数字という事です)
ではSPF50と表記されている日焼け止めを0.1g使ってメイクした場合はの効果は?
量が規定量の1/14なので、効果は50の14乗根、つまり
『SPF1.3』
とんでもなく低いSPF値になってしまいます。
顔の面積は人それぞれですし、塗る範囲も色々でしょう。
「私は小顔なんだから面積は500cm2しかないわよ!」っていう人もおられるでしょう。
でも実はSPF値には大差ありません。
顔の面積500cm2の人(耳から耳までだいたい25センチくらい)が一度のメイクで顔全体に使うべき規定量は
2.00 mg/cm2 ×500cm2=1.0g
これに対して実際使う量が0.1gなら規定量の1/10
50の10乗根は約1.5なので、SPFは1.5になります。
使用料とSPF値の想定をグラフにしてみました。
がんばって規定量の1/4使ってコテコテに塗ってもSPFはだいたい2強程度。
(1/4量は、先述の「2~3回分」のパウチ0.3gを私なら一回で使って物足りない感じです。)
「ササっとブラシで付ける」「パフでポンポンはたく」程度の付け方ですと、SPFは限りなく1に近い数値になるでしょう。
以上はあくまでWuff先生の論文が正しければ、の話です。
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§4 規定量を使ってみた!
それでは一旦Wuff先生の話は置いておいて。
規定量を使うとどんな感じになるのか?
やってみました。
規定量2.00 mg/cm2 の50倍0.1gを、先述の0.3g入りパウチからざっくり1/3取り出し
1cm2の50倍の面積=50cm2に塗ってみます。
50cm2は約7センチ四方の正方形の面積です。(50の平方根は7.07)
私の手の甲の部分はちょうど7センチ四方程度ですのでここに塗ってみました。
(つまりメーカーが想定する一回の使用量は、表記どおりのUVカット効果を得るためには実際は手の甲程度の面積に使用すべきものなのです ^^;)
粉を手の甲に乗せ‥
全体に伸ばします。
すごい厚塗り、ゴワゴワです。
ホントに顔に塗ったら、笑う度に顔中ひび割れそう。
しかしこれが規定量。これだけ塗ってはじめて表記どおりのSPF値が得られます。
長時間使用する場合は、こまめにこれを塗り直す必要もあるわけで‥
結論、「無理」。
市販されているパウダー状UVカット製品の内容量は大抵5~6g程度です。
顔の面積500cm2の小顔さんでも5回か6回で使い切るくらいの量を塗らないと、表記どおりのSPFにはなりません。
このように、現実に使う量とかけ離れた量を使用して測定したSPF値を表記するのは、不当表示ではないかと思いますが、まあ、一度に1グラム以上使え!と表示していないだけでしょうからね。(製品の分量について約ひと月分とか書いてるメーカーはあるけど)
現在の基準や表記方法がそうなっている以上、買う側が考えて使うしかないという事でしょうか。
実際日常生活に50も必要ないですし。
SPFが1か2でも、塗らないよりは確実にマシなんでしょうし。
しかし、少なくとも私は粉モノのSPF値はあてにしません。
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