ニナ リッチ(フレグランス) / レールデュタン オーデトワレ 口コミ

私が香水に興味を持ちはじめたのが十五歳の頃。でも香水なんて
私には未知の領域で、どの香水を買って付ければ良いのか、また
どのように使用すれば良いのか分からない時期でした。
母に相談したくても、母はダナパフュームのタブーしか香水を知らず、
しかもその頃はタブーさえも使わずに過ごしていたので、私は香水とは
無縁に生活をしてきたのでした。
そんな或日とうとう私は「家にタブー以外の香水なんて無いわよね？」と
母に漏らしていました。母は暫く考えていると、
「ああ、思い出した。お父さんのフランスのお土産で香水を頂いたわ」
そう謂うと母は奥に行って五種類のセットになった香水を持って来ました。
「ニナ・リッチの香水よ。好きなのを選んで良いわよ」
そこには『カプリッチ』『ニナ』『ファルーシュ』『レール・デュタン』
『フルール・ド・フルール』のパッケージが並んでいました。
香水の知識が全く無かった私は「ニナ・リッチて、有名なの？」と
母に尋ねました。母は微笑みながら「そうよ」と返事をしてくれました。

一つ一つの箱を開けては中の小壜を取り出し、蓋を空けそっと鼻を
近付け匂いを嗅ぎ比べます。
その時の楽しかった事！何だか天国にいるような不思議で幸せな香りに
囲まれて……。まるで私は幻想の世界に佇んでいるように。

「どれか好きなのはあった？」母はなんだか嬉しそうでした。
「私、これが一番好き」私が指差したのは黄色い箱に収められ、
二羽の鳩が仲睦まじく飛んでいるボトルでした。
「じゃあ、これをあげましょう。大切にするのよ」

あれから何年も経ちましたが、未だにあの時の事を思い出すと
とても嬉しく、幸せな感覚が甦ります。
瑞々しいフローラルに和蘭石竹が優雅に香るニナ・リッチの
『レール・デュタン』の香りと共に。

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