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いよいよ新年度が始まった。3月12日に発表されたばかりのルイ ヴィトンの新作ルジュール スレーヴは、まさに新たな第一歩を踏む出すこの時期にとてもふさわしい香りだ。
ルジュール スレーヴは「夜明け」の名のとおり「夜を突き抜け、新鮮な幕開けを予感させてくれる太陽の光」をイメージした、新たな冒険に一歩踏み出す香りとのこと。
ルイ ヴィトンのマスターパフューマーのジャック キャヴァリエが、この夜明けに香りに選んだマテリアルは、シチリア産のマンダリンだ。マンダリンは柑橘類というカテゴリーに収まりきらず、パフューマーにとっては奇跡の果実らしい。
過去に発表されたレ パルファン ルイ ヴィトン7作は、いずれも厳選された上質なマテリアルの骨格がかなり色濃く出ている香りに対し、このルジュール スレーヴはマンダリンだけがはっきり主張することなく、フローラルやグリーンやフルーティがそれぞれ調和した、ジャック キャヴァリエの腕が冴え渡る逸品に仕上げられている。
また過去7作は、日本人がもっとも好きなシトラスがなく、どの香りもレザー調をアクセントとしていたため、特に夏場に提案しやすい香りがなかったルイ ヴィトンのシトラス問題を解決したとのこと。
トップはシトラス-グリーン。ジューシーなオレンジ、少し果皮感の強いグレープフルーツ、グリーンなマンダリン、ベルガモットなど色彩が鮮やかなシトラスミックスを軸に、ブラックカレントのみずみずしいグリーンノートが全体をよりフレッシュにさせた、とても爽快な香り立ち。
ミドルはフローラル-グリーン。トップの爽やかな香りから、さらにみずみずしさが増したようなイメージ。マンダリンのグリーン感と、オレンジにフルーティな甘さが加わわったオスマンサスと、ベルガモットにフローラル感が増したサンバックジャスミン。それらがそれぞれ調和した、爽やかでとてもみずみずしい香り。
徐々にカシスグリーンの効いたミュゲの香りに移り変わる。タービュランスやアポジェと比較すると、カシスのみずみずしさが効いているため、まろやかでどこかジャンダーレスな透明感のあるホワイトフローラルの香りに感じる。
ベースはウッディ-ムスキー。透明感のあるフローラル-グリーンの残香に、セダーウッドや柔らかいムスクの香り。この淡い香りが4〜5時間持続する。
この夜明けに香りとしてマンダリンを選んだわりには、マンダリンのシトラス感は最初にパッと香るのみでそれほど主張しない。むしろマンダリンやカシスのグリーンノートが、オレンジの甘さや、サンバックジャスミンのみずみずしさを引き立てているように感じる。
まぶしい太陽の光=マンダリンというよりも、朝の気温が急に上がり、温かさを感じるこの時期、そこまでシトラスが主張しないフローラルグリーンの香りは、少しだけ冷たくでも温かい柔らかな春風に包まれるようでテンションが上がる。シトラスががっちり効いた香りは、もう少し暑くなってからでもいいかなという気持ちになる。
ルジュール スレーヴは、ジャック キャヴァリエが暮らしているグラースで夜明けの体験からインスピレーションされた香りとのこと。
「毎朝、海に面した寝室で僕は目覚めます。窓の向こうに海が見え、遠くにはコルシカ島が。海の蒼、太陽の赤……こんな目覚めに、何もかもが可能なんだ、というとてもポジティブな気持ちになれるのです」
年度初めはやはり忙しい。
けれども、ルジュール スレーヴの香りと共に、日本ではとても短い春の歓びを楽しむと同時に、ポジティブな気持ちで良いスタートを切りたいと感じる。
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