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クチコミ
夏の夜。遠くの街灯り。SNS。エスケイプ。ママのルージュ。背伸び。夜遊び。女友達。先輩の彼氏。ネオンライト。クラブ。慣れないお酒。タバコの匂い。真夜中のドライブ。逃避行。湾岸線。夜の浜辺。知らない男の子たち。強がり。波の音。爆竹。缶ビール。笑い声。花火。野良猫。長いしっぽ。わがまま。小悪魔。夜半の月。真夜中の美少女。
ニナ・リッチのベルドゥミニュイは、そんな夜遊びのシーンをフラッシュバックさせるような混沌とした香りだ。邦題「真夜中の美少女」。このタイトルに惹かれて購入した女性も多いと聞く。そして、メタリックブルーのうずまきボトルにメタリックピンクの王冠を載せた独特のボトルデザイン。このエキセントリックな意匠も女性の間で人気だ。
ベルドゥミニュイは、2000年に発売されたミレニアム限定品。猫の座り姿に長い尻尾が巻き付いたようなボトルは、レベルドゥリッチ・シリーズの後継であることを示す。調香は、レベルドゥリッチ3(1999)を作ったセシル・マットン。2000年にYSLからベビードールをリリースして大ヒットとなり、一役有名になった方だ。では、同じ年に作られたベルドゥミニュイ、どんな香りかというと。
ツヤ消しメタリックピンクのキャップを外す。このローズピンクの中空キャップは、花のようでクラウンのようで洒落ている。シルバーのスプレーボタンは噴射量が多めで調節が難しい感じ。
トップは、透明感ある洋酒の匂いが立ちこめる。シトラスミックスがわずかに感じられるも、それ以上に苦みが強く、何度もかいでいると頭がクラクラする香料が入っているトップ。ややカオス。次第にスパイスとウッディが背後から立ち上ってくる気配を感じる。
3分ほどしてミドルになると、洋酒っぽさがうすれてドライなインセンスとスパイシーなシナモン様の香りがしてくる。鼻ムズムズ系。秋〜冬だとビターなチョコレートのような香りが感じられるが、夏はそうでもない。ゆっくりかぐと洋酒入りのスパイシーなウッディ。スッと速くかぐとベースのお香がじんわり香る構成。何かしっとりした低めのフローラルも混じっている。
低めのフローラルは、クローブ香をともなったカーネーションのようだ。ベルドゥミニュイの香りを表現する際に、「オレンジピールとモカの香り」という情報がさも当然のように伝わっているが、そんな感じはしない。ベースのドライなお香っぽさ、これはクレジットによればミルラや合成サンダルウッドのようだ。その上で主張してくるスモーキーな茶色い香りは、ローストされたトンカビーンにわずかなカカオといった雰囲気。このスパイシーカーネーション+トンカビーン+ウッディ+樹脂がとても不協和音を奏でていておもしろい。明らかにティエリ−・ミュグレーのエンジェル(1992)にインスパイアされて創作した作品だと思う。
ラストは、焦げたウッディで消えていく。甘さはあまりなくて、ドライでビターなインセンス香で収束。そこまで大体3〜5時間。
全体的に見ると、夏はスパイシー&インセンスがよく出てドライな印象。冬は揮発が遅くなるため、洋酒っぽさとビターチョコのような香りが強く出てくる感じ。カカオのようなコクを感じたいなら、秋〜冬につけるといいと思う。本来はフローラル・ウッディな系統だけれど、ダークチョコの雰囲気も持っているところから、グルマン系やコンフェクショナリー系として捉えている人も多い香り。スパイスが効いているせいか、ネーミングと相まって辛辣かつミステリアスなキャラクター像をイメージしやすいオードトワレ。エンジェルやロリータレンピカなどが好きな方に特におすすめだ。
ベルドゥミニュイは、若い女性が精一杯斜に構えて、訳知り顔で夜を冒険して彷徨う危うさを表現したような香り。背伸びしてツンと口をとがらせ、常に前髪の微妙な長さを気にしてイライラしているような女の子。ドライでビターな大人の雰囲気を装っているように見せて、その実、自分に自信がもてず、いつも周囲の反応を気にして爪をかんでいるような。
12時の魔法が解ければ、お姫様は元の灰かぶり。ひと晩だけ背伸びをしていた美少女は、夜明けと共にどこにでもいる女の子に戻って、またありきたりな日常に埋没してゆくのだろう。そんな経験を繰り返して21世紀に大人になった女性に捧ぐほろ苦い香り。
アノ夏 夜ノ匂イガ ソウサセタ。
野良猫。長い尻尾。朝焼けの光。海風。砂浜。落書き。バカ。石投げ。コンビニ。湾岸線。トラック。居眠り。始発。スズメの声。夏の朝。玄関。暗い部屋。ベッド。夜の残り香。ベルドゥミニュイ。
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