- クチコミ 826件
- 注目人数 人
- 購入者のクチコミで絞り込む
クチコミ
家にいる時間が多くなった。世界は目に見えない物であっという間にブルーになる。そう思うことが多くなった。
せっかく家にいるのだから、心安らかに過ごし、自分らしくありたいと強く思うようになった。だからできるだけ穏やかで、柔らかい香りをそばに置こうと思って、久しぶりにブルガリのブループールオムの香りを嗅いでみた。そして驚いた。そこには、湯上がりの赤ちゃんをそっと包みこむ柔らかなタオルやベビーパウダーのような優しさが満ちあふれていたからだ。
2001年リリース。調香師はアルベルト・モリヤス。30mlで4千円前後。香水沼の方は「安い」というだけで手にとらない方もいるかも知れない。だが香水は安くていい香りならそれにこしたことはないと思う。
ブループールオムをプッシュする。強めのアルコールに混じって最初に立ちのぼるのは、透明感あるジュニパーの爽やかな香り。それはジントニックを口にしたときの風味そのもの。クリアーでスッキリした苦味だ。すぐさま低音でじんわりと響くスパイシーミックスが感じられる。ジンジャーのホットな辛み、カルダモンの鼻に抜けていくフレッシュな感じとタバコフラワーの甘さ。それらがシームレスに出てきて、トップから多層かつ複雑な展開。クレジットにはないが、ジンジャーを効果的に見せるレモンの香りもしている。
久々につけたが、このトップはさりげなく凝った作りだ。シトラスの酸味、タバコフラワーの甘さ、ジュニパーの苦味、カルダモンの清涼感。それらがフレッシュかつ爽やかに広がるイメージだ。さすがアルベルト・モリヤスといったところか。五味をまんべんなく配置しつつ、温かみのある香料とクールさを感じさせる香料のバランスをきっちりとっている。ただ、全体な温度としてはややクールなイントロだ。
5分後、レモン様シトラスが減衰する。するとそれまで見えていなかったこの香りの本質ともいうべき、クリーミーでパウダリーなサンダルウッドとムスクのベースがみるみる明らかになってくる。それは男性が湯上がりの汗止めなどに用いるタルカムパウダーや赤ちゃん用のベビーパウダーそのものといった風合い。そんなむせかえるようなパウダリーベースが出てくる。柔らかで、まろやかで、粉粉(こなこな)している香り。
このクリーンな石鹸の香り、そしてそれを包み込むような甘くパウダリーな香りのミックスが3〜4時間ほど続く。ラストはほんのり香ばしいミルキーサンダルウッドと冷たく甘いムスク。上品で柔らかいヴァニラ様ウッディのラストでとてもいい。
ひと嗅ぎして「この香水、ただの石鹸の香りじゃないか」そう言う方は多いだろう。確かにクリーンでクリーミーで優しい香りがする。自分も昔はそう思った。そしてタカをくくった。これだったらボディソープで代用できるじゃないか、と。
バカだった。甘かった。それ以上にやはりモリヤスはすごかった。どこにでもありそうな石鹸&ベビーパウダー的な香りを、さりげなく上質かつエレガントに仕上げる職人技がこのブループールオムには感じられる。フレッシュで、クリーンで、パウダリー。この香水は、ブルーというにはあまりに白く柔らかい。
女性用に作られたブルーEDPが廃盤となった今、こちらで代用する女性も多いと聞く。トップがややクールスパイシーな点と、タバコフラワーの甘い香りが濃厚な点さえ許容できれば、十分女性にも似合うパウダリーフレグランスだと思う。
一年を通していつでも使え、デイタイムもナイトタイムにも似合う香水。何より、自分が自分でいられるために、どこにもギアを入れていないニュートラルな自分に寄り添う香りとして、肩肘はらずにいつでも使える気安さがいい。
家で過ごす時間が長くなった。こんなときは、なるべくゆったりした気分で過ごしたい。ブルーな気分はあえてブルーなままでいい。真っ白でまっさらな自分をじっくり見つめて、周囲のノイズに心乱されないよう、心安らかにゆるやかに。ブループールオムはそんなとき、柔らかくなめらかで、ふんわり肌触りの白いパイル地のシーツのように心を包みこんでくれる。
ブルーに最も似合う色は、もしかしたら白なのかもしれない。そんなことを思った。
限りなく白に近いブルー。ブルガリブループールオム。
- 使用した商品
- 現品
- 購入品
この商品を高評価している人のオススメ商品をCheck!
戻る
次へ
ブルガリについて
メーカー関係者の皆様へ
より多くの方に商品やブランドの魅力を伝えるために、情報掲載を希望されるメーカー様はぜひこちらをご覧ください。詳細はこちら