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クチコミ
やられた。完全に。
トップのパチュリとアルデハイドを嗅いだあたりで「パチュリ=よくあるセクシー系香水でしょ」なんてタカをくくっていた。どうせパチュリは官能的なオリエンタル香料って言うんでしょ。はいはい、わかってますよ。それに花とかムスクが加わってるだけなんだろうと。要するに西洋人にとって魅力的なだけって。
確かにトップのグリーンな香りはとびっきりイイ女を連想させる。イメージで言えば仕事ができてキャリアがあり、服装もカッコいい年上の女性上司。一見とっつきにくいけど私のしたミスをサラッとかばってくれて、「今度はこういう風にしてね」と責めることもなくあっさり指示を出せるタイプ。
ちょっと気が強そうなシャネルN19を連想したこともある。ディオレッセンスみたいな歴史ある香水をナメくさっていて、途中で匂いを嗅ぐ気でさえなかった。ところがふと気付くとパチュリの香りの中からフワリと花の香りが立ち上ってくる。何の花だかよくわからない。単独で香っているというよりは花束から香ってくる複雑で深みのある匂いだ。イランイラン、ローズ、ジャスミンなと王道の香料が境目がなくなるほどブレンドされているが、不思議と花束として触れそうな存在感は残っている。
ミドルからの香りは第一印象を見事に覆してくれる。仕事帰りに恋人とバーに立ち寄る女性に似合いそう。化粧を夜向きに華やかにして香水を付け直しアクセサリーも変えて。トップではクラシックでダンディな印象さえあり、このままココ・シャネルのようなカッコいい孤高の女性系の香水を貫くと思ったのに少し路線が違う。こちらの方がグッと男好きのする匂いだ。虎視眈々と好きな男性に狙いをつけ落とすしたたかさがある。
ラストノートのその他の香料に対するオークモスとパチュリのバランスは絶妙。最近オークモス精油を取り寄せたので手持ちのパチュリとブランドして色々楽しんでいる。他の精油も足してバスソルトにすることが多いが、この2つはバランスによって大きく表情が変わる。ちょっと間違えると土臭くて耐えられない悪臭に転んでしまうから。
もともとディオレッセンスはディオールが毛皮コレクションを発表する時に、「野生の香り」と難しい挑戦を叩きつけたところから始まる。「野生的なだけじゃなくて当然魅力的な香りにしてね」という無言の圧力があったのは言うまでもない。調香師、ギ・ロベールは散々試行錯誤を重ねたのにも関わらず思ったようなものが出来ずに悩んでいた。
そんなある日、彼はアンバーグリスの買い付けに行った際、手に強く匂いが残っているのに気付き空港のトイレで手を洗う羽目に。ミスディオールの香りを安っぽくコピーしたその石鹸とアンバーグリスの匂いが混ざったものこそ彼が目指していた香りだった。そこでその石鹸を取り寄せてそれを元に完成させたのがディオレッセンスだとか。
残り香の色っぽさが凄い。香水と体臭の境目のギリギリのところを攻めてくる。昔フランス人の知り合いが「体臭は最高の香水」なんて言っていて、その頃は「はーあ?」なんて思っていた。でも自分は恋人を選ぶ時、性格が好きなことは勿論だが確実に触り心地と匂いで最終決定を下している。何もつけていない時に体臭を嗅いでいい匂いだと思える人がいる。多分遺伝子レベルで相性がいいのだと思う。
このラストノートにはダーティーという言葉がよく似合う。日本語に直訳するのは難しい英語の表現だ。男性の心にわざと火をつけて、彼の出方を見てからゲームをするかのように誘き寄せる。周到に準備をしているくせに、自分の手の内は全く見せないで何食わぬ顔をして近づいていく。
これを纏ったら完全に恋のアクシデントを仕掛けられそう。但し、引っかかってくれるのは引っかかったふりをしてくれる自分よりも一段上手の人だったりして。
そんな大人の恋を思わせるちょっぴり危険な香り。
トップノート: アルデハイド、パチュリ、ベルガモット、フルーツノート、グリーンノート、オレンジ
ミドルノート: ゼラニウム、シナモン、カーネーション、オリスルート、ローズ、イランイラン、チュベローズ 、バイオレット、ジャスミン
ラストノート: オークモス、パチュリ、ムスク、サンダルウッド、スチラックス、ベチバー、ベンゾイン、バニラ
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