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香水帝国ゲランが贈る、新型・最高級の桃の香り。
ゲランの「ペッシュ ミラージュ」は、2025年に発売されたフルーティ・レザー系の香りで、伝統と革新を融合させた香水だ。調香師デルフィーヌ・ジェルクが手掛けたこのEDPは、ブランドの最高級ライン「ラール エ ラ マティエール」に新たな果実の息吹を吹き込んでいる。ピーチを主役に据え、合成分子「メルバトン」を初めて使用し果肉のジューシーさを再現。さらに、レザーやアンバーの深みを加えることで、エレガンスと官能性が絶妙に調和した香りに仕上げている。
思えば1919年、ゲランの三代目調香師ジャック・ゲランは、シプレのアコードにピーチのフルーティーな香りを加えることで、伝説の名香ミツコを生み出した。そして100年余の時を超えた今、デルフィーヌ女史は最新のピーチ香料を用いて、ジャックの偉業へのオマージュを形にする、という偉業に挑戦した。
では、ペッシュ ミラージュとはどんな香りなのか?
ペッシュ ミラージュをスプレーする。するとまず感じられるのは、とても洋酒ライクなトップ。香料が複層的に香るのでこの開幕は意外だ。「桃とレザー」という取り合わせを前知識としてもっていると肩透かしをくうトップ。それは高級感のあるなめらかな茶色のレザー香に、アンバーの樹脂感、サンダルウッドの軽やかな木の香が一体となって、思ったよりクラシカルなイントロだ。
このトップは「さすがラールエラ」と唸るような、香料どうしの美しいミルフィーユが味わえて面白い。好きか嫌いかは別として、ベース香料が重なり合い、ふわりと1つにまとまって出てくる多層感は、デルフィーヌ女子もかなりゲランのクラシカルラインを勉強してきたなと実感する。
蛇足ながら、ペッシュ ミラージュのトップ香料には、ピーチやサフラン、ブラックカラントがクレジットされているが、肌感としてこれらよりもベース香料が先に出ている感じが強い。最初に感じられるレザー&アンバーは5分もすると影を潜めていく。そしてそこからがこの香水の真骨頂。
高級なレザー、鼻ツンの辛味をもったアンバーの風が過ぎ去ると、いよいよピーチの香りがその姿を現してくる。まるで砂漠の蜃気楼のように、徐々にその姿を浮かび上がらせてくる。このピーチ香が確かにいい。どれくらいいいかと言うと、香水嫌いな家人が「あ、なんかいい香りがする」と鼻をクンクンさせたぐらいよいらしい。(←珍しい)
それはまさにピーチの甘さ、ふくよかさ、みずみずしさ、それらを併せもった香りだ。ゲランによると「環境や人体への負荷を抑えるグリーンケミストリーによって製造された」とあるが、これはもう天然の桃の香りといってもいいくらいのピーチ香が広がってくる。
同時に低音部には、わずかにオスマンサスのフルーティ&レザー調のアクセントが感じられる。そこで人によっては、このミドルのピーチ香で酸味を感じる人、苦みを感じる人もいるかもしれない。それはおそらくピーチ香と似た成分で低音部をけん引しているこのオスマンサスを感じるからだろう。
そしてこのピーチ&オスマンサスが柔らかく3〜4時間ほど続いてドライダウン。ラストまでピーチが長く続く。フルーツ香がこれだけ優しく続くのは、かつてなかったことだ。ケミストリーの進歩を感じざるをえない。
ミツコの場合は、全体が渋めのシプレで、そののトップに柔らかなピーチアルデヒドが一瞬現れて消える構成だが、この香水は真逆だ。渋めのレザーアコードが最初に出て。その後にふんわり桃の香りが長続きする展開。これはジャックが生きていたら本当に驚いただろう。そういう意味でこのゲランの最新桃香水は、ミツコの展開の逆をいく美味しそうなピーチ香水になっている。
とはいえ価格は全く美味しくない。現状100mlボトルのみで価格が49500円。確かに最高級ラインだし最新香料も使っているが、価格についてはどんどん上がってきている。庶民は買うなと言われればそこで終わるが。さらに乱発しすぎの感はある。アクア荒れゴリア並にポンポン出しては廃番も多い。この売り方は、かつてのラールエラの希少性を知る人なら「なんだかな」と感じる方もいるのでは。
ペッシュ ミラージュ。桃の蜃気楼という名の香り。この香りは、一面に広がるオアシスの桃畑からどこまでも広がる砂漠を見渡すような、幻想的な風景を思い起こさせる。テラスのテーブルに置かれた摘んだばかりの桃。その奥には黄金色に輝く砂丘が広がり、遠くには青い水面のミラージュが揺れている。この物語性豊かな香水は、一滴纏うだけで非日常的な世界へと誘ってくれるに十分な、美しい魅力をもっている。
砂漠の蜃気楼。桃の葉の木陰。のどを潤す 極上の水蜜桃の香り。
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